「死刑は認められません」

 各メディアを通してすでに報じられているように、『カトリック教会のカテキズム』の死刑に関する2267項が変更されることになりました。改訂版の暫定訳はこちらをごらんだくさい。

 これまで2267項には「不当な侵犯者から効果的に人命を守ることが可能な唯一の道であるならば、死刑を科すことも排除されていません」という一文が含まれていました。しかし、教皇ヨハネ・パウロ2世は回勅『いのちの福音』で「死刑に反対する世論の広がり」をいのちの新しい文明のしるしとし、また、教皇ベネディクト16世も「死刑の廃止に至ることができるよう、可能な限りを尽くす」ように社会の責任者に呼びかけていたようです。そして、教皇フランシスコは去年の秋に「死刑は認められません。それは人間の不可侵性と尊厳への攻撃だからです」と語っていました。日本の司教団も『いのちへのまなざし〈増補新版〉』76番で「『いのちは神聖であり、したがって不可侵である』という原則は、いのちの根幹にかかわるすべての問題に当てはめなければなりません。死刑の問題も例外ではありません」と述べており、先月18日もオウム真理教団関連の最近の死刑執行への抗議声明をに正義と平和協議会から出していました。

 改訂版の最後の文は次のようになっています。「教会は全世界での死刑廃止のために決然と働きます」。カトリックの聖職者は教誨師として死刑囚にかかわることがありますが、だからこそ死刑囚の精神的安定に寄与することで死刑制度の存立に協力するのではなく、死刑廃止に取り組む必要があるでしょう。