『静観庵だより』第2号でご紹介した、ベリーニ神父様が大切にされた祈りを以下に掲載します。印刷版はこちらです。両面印刷で冊子として印刷できます。
天におられるわたしたちの父よ、
み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり
地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。
わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、
悪からお救いください。
アーメン。
最初のお祈りは主の祈り。キリスト信者にとって一番基本的な祈りですが、ベリーニ神父様が主の祈りについて言っておられたのは、
一、 眠る前に主の祈りを祈ること、
二、 ただ唱えるのではなく黙想しながら祈ること。
もっともそれで、最後まで祈れずに寝入ってしまったりするともおっしゃっていました。
子供の頃は眠る前にご両親と次のやりとりがあったとおっしゃっていましたね。
「おっとう、おゆるしを」
「神がお前を祝福してくださるように」
「おっかあ、おゆるしを」
「神がお前を祝福してくださるように」
主の祈りもそんな気持ちで祈ってもいいのかもしれません。
神の御母よ
わたしたちはご保護を仰ぎます。
いつ、どこでも
私たちの祈りを聞き入れ
御(おん)助けをもって
すべての危険から守ってください。
今のカトリック信者に一番親しまれているマリア様への祈りはアヴェ・マリアの祈り。アヴェ・マリアの祈りは聖書の言葉からできた祈りで、お告げの天使の言葉と、エリサベトの言葉を合わせた賛美の祈り。ロザリオの祈りもアヴェ・マリアの祈りが中心になりますが、アヴェ・マリアの祈りもロザリオの祈りも比較的新しい祈りです。一番古いマリア様への祈りだと神父様が教えて下さったのが神の御母よ(Sub tuum praesidium)。マリア様が守ってくださるようにより頼む祈りです。
絵画はピエロ・デッラ・フランチェスカの「憐みの聖母」(一四四五-六二年、サンセポルクロ市立美術館所蔵)。外套を広げて、人々を保護しています。
*ロザリオの祈りについては北白川教会のサイトをご覧ください。
聖母マリア、神の臨在に満ちた方、あなたはご生涯を通じて、まったく謙遜に御父のみ旨を受け入れ 悪魔さえもあなたを罠や誘惑に陥れることはできませんでした。
あなたはすでに息子イエスと結ばれ、私たちのすべてのもつれを解いてくださり、単純かつ忍耐強く私たちの人生に絡み合った結び目をどのように解くのかを身をもって示してくださいました。あなたはいつも私たちの母として、主イエスと私たちを結ぶ絆を示してくださいます。
聖母マリア、神の母、私たちの母、私たちの人生のもつれ、結び目を母の心で解いてくださるあなたのみ手に委ねます。私たちを苦しみや不安から解放してください。
あなたの取り次ぎによって、あなたの模範に倣うことによって私たちを悪から解き放ち、私たちと神との交わりを妨げる結び目を解き、不安、過ち、誘惑、すべてのものから解放してください。
あらゆることのうちに主イエスと出会い、主に心をとめ、兄弟姉妹のうちに、いつもイエスに仕えることができますように。アーメン。
結び目をほどく聖母マリアの御絵は、教皇フランシスコがより頼んだマリア様として有名になりましたが、日本で知られるようになったのはベリーニ神父様から示唆を受けてご友人が『カトリック生活』二〇一三年八月号に寄稿されたのがはじまりでした。
(答)主はわれらの牧者
わたしはとぼしいことがない
神はわたしを緑のまきばに伏させ
いこいの水辺に伴われる
神はわたしを生き返らせ
いつくしみによって正しい道にみちびかれる
たとえ死の陰の谷を歩んでも
わたしはわざわいを恐れない
あなたがわたしとともにおられ
そのむちとつえはわたしを守る
神の恵みといつくしみに
生涯伴われ
わたしはとこしえに
神の家に生きる
詩編の祈りである教会の祈り(聖務日課)は司祭や修道者が毎日祈るべきものであり、信徒も祈ることが勧められています。ベリーニ神父様も教会の祈りを祈っておられました。晩年はよくタブレットのアプリでイタリア語の教会の祈りのメロディーを聞きながら祈っておられたようです。
詩編の中では詩編二三がお好きだったとある方からお聞きした記憶があるので、典礼訳の一部を掲載しました。葬儀ミサでもよく歌われる詩編です。
キリストの魂、わたしを聖化し、
キリストの御体、わたしを救い、
キリストの御血、わたしを酔わせ、
キリストの脇腹から流れ出た水、わたしを清め、
キリストの受難、わたしを強めてください。
いつくしみ深いイエスよ、
わたしの祈りを聴き入れてください。
あなたの傷のうちにわたしをつつみ、
あなたから離れることのないようにしてください。
悪魔のわなからわたしを守り、
臨終の時にわたしを招き、
みもとに引き寄せてください。
すべての聖人とともに、いつまでもあなたを
ほめたたえることができますように。アーメン。
キリストに向かう祈りは一四世紀にも遡り、ロヨラの聖イグナチオが『霊操』で勧めている祈りです。近年では、イタリアの司祭であり作曲家であるマルコ・フリジーナが作曲しており、ベリーニ神父様は北白川教会やイグナチオ教会のオルガニストに聖体拝領後の曲として勧めておられました。歌わなくても、聖体拝領後の祈りにふさわしいと言っておられたようです。
主よ、永遠の安息をかれらに与え、不滅の光でかれらを照らしてください。
かれらが安らかにいこいますように。アーメン。
レクイエムで始まる死者への祈り(女子パウロ会のサイトより)。神父様のお母様は、祈る人がいない死者のためによく祈っておられたそうです。
以上ご紹介した祈りは少ないですが、言葉をたくさん唱える祈りよりも、イエス様から見られる祈りが大切だとベリーニ神父様がおっしゃっていたことも思い出したいです(北白川教会広報誌Viator Nr.20参照)。